不動産相談ブログその他 不動産知識

今は元気だけど、一人暮らしで将来のことが不安。

子どもがいなくて、近所に頼る人もいない。

身の回りのことができなくなった時に、自宅を売却して高齢者施設に入所するにはどうしたらいいの?

そんなお悩みに任意後見制度をご紹介します。

任意後見人制度を使うと、認知症になったとき、自分が希望するライフプランを後見人に実現してもらうことができます。

参考にしていただけたら幸いです。

– コンテンツ –

1  任意後見制度とは

2 手続きの流れ

3 かかる費用

4 任意後見制度のメリット

5 任意後見制度のデメリット

6 まとめ

1  任意後見制度とは

ご本人に十分な判断能力があるうちに、判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ、ご本人が選んだ人(任意後見人)に、代わりにしてもらいたいことを契約(任意後見契約)で決めておく制度

厚生労働省HPより

ご本人が選ぶ人は、自由に選ぶことができます。ご家族でもご友人でも大丈夫です。

ただし、金銭にルーズなど任務に適しない事由がある人や、破産者など、法律で適しないと定められている人はなることができません。

思い当たる人がいない場合、弁護士会・司法書士会・市民後見人の会などが窓口を設けていますので、相談すると適切な人を紹介してもらえます。

代わりにしてもらいたいことも、自由に決めることができます。

例えば、こんな高齢者施設に入りたいなど決めておけば、その施設への入居する際の契約や、財産管理をしてもらうことが可能です。

ただし、契約書に記載されていないことはできませんし、介護に関することもできません。

2 手続きの流れ

ステップ1

信頼できる人に「任意後見人」になってもらうことを依頼します。

ステップ2

「任意後見人」になることを依頼した方(この時点での名称は「任意後見受任者」)と相談しながら、将来判断能力が衰えたら「任意後見人」に何をして欲しいか記載した「任意後見契約」を公正証書で結びます。

ステップ3

本人の判断能力が衰えてきたら、「任意後見受任者」や本人、家族などが家庭裁判所に「任意後見監督人」の選任の申し立て」をします。

ステップ4

「任意後見監督人」が選定されると、任意後見契約の効力が発生し、「任意後見受任者」が「任意後見人」という名称に変わります。

ステップ5

「任意後見人」は、任意後見契約の中に記載された事項を本人のために実行します。 「任意後見人」は、家庭裁判所が選任した「任意後見監督人」に監督されます。

3 かかる費用

任意後見制度を利用にかかる費用は、おおまかに分けて3つになります

①任意後見人契約公正証書作成にかかる費用

・作成の基本手数料 11,000円

・登記嘱託手数料   1,400円

・登記所に納付する印紙代 2,600円

・その他、本人らに送付する正本証書代や、登記嘱託用の郵送切手代が別途かかります。

②任意後見監督人選定の申し立て費用

・収入印紙800円

③その他

・任意後見監督人から報酬の請求があった場合、家庭裁判所の審判により、報酬が本人の財産から支払われることになります。

・同様に、任意後見人になる人とも、報酬を支払う旨の取り決めがなされていた場合には、報酬を本人の財産から支払うことになります。

・公正証書契約書の作成を専門家に依頼した場合は、別途その費用がかかります。

4 任意後見制度のメリット

・本人が自由に、後見人を選ぶことができます。

・契約内容も、法律の趣旨に反しない限り、当事者双方の合意により自由に決めることができます。

・任意後見監督人が任意後見人の業務内容をチェックするので、任意後見人に、本人のお金を使い込まれたりするなどの不安がなく安心です。

・契約内容が登記され、任意後見人に選ばれた人は、氏名や代理権が記載された「登記事項証明書」の交付を受けるので、地位が公的に保証されます。この証明書を使って銀行での手続きなど、スムーズに行くことができます。

5 任意後見制度のデメリット

・任意後見人には、取消権がありません。もし、ご本人が、だまされて高額な商品を購入してしまった場合、その売買契約を取り消すことができません。法定後見人には、取消権が認められているので、取り消すことが可能ですが、任意後見人には取り消すことができません。

・利用を開始するタイミングが難しいことです。任意後見契約を締結した時点では、ご本人の判断能力もしっかりしていますが、判断能力が衰えてから申立を行うので、それまで、定期的に見守る必要があります。親族が任意後見人になった場合は、比較的分かりやすいですが、第3者に依頼した場合、判断能力が低下しているかどうか気づかないままになることもあるので、注意が必要です。

・死後のことまで契約内容に記載することができないので、お葬式やお墓のことなどお願いしたい場合は、別途、死後事務委任契約をむすぶ必要があります。

・判断能力が低下することなく大往生した場合は、任意後見契約書の作成費用は無駄となります。

6 まとめ

認知症になる不安がある方や頼る人がない人は、老後の備えのひとつとして、任意後見契約を結んでおくと安心です。

メリット・デメリットを比較して、検討してみることをおすすめします。