東海リバティです。
現在は親名義で相続する予定の不動産。
将来的に処分や賃貸を考えているけど、なかなか先立って話を切り出せませんよね。
そんなこんなしている間に親が認知症に!認知症が進んでしまった場合には、不動産の契約が成立したとしても、無効になってしまう場合があります。
平成29年度高齢者白書(内閣府)によると、2012年は認知症患者数が約460万人、高齢者人口の15%という割合だったものが2025年には5人に1人が認知症になるという推計もあります。
今後は不動産の活用や売却したくても出来ない人が激増しそうです!
そこで、親が認知症になったときの不動産取引について考えてみたいと思います。
-Contents-
1.意思能力
2.法定後見制度を利用して有効な不動産取引ができます
3. 当社の取引事例
1. 意思能力
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。
<民法3条の2>
親に意思能力がない場合、不動産取引をおこなっても、無効になってしまうんです。
ところで、意思能力ってどうやって判断するのか・・・?
認知症にも程度があって、意思能力の有無は簡単ではありません。
この判断は「契約した内容を正しく理解できていたか。」ということです。
このとき気を付けなければならないのは、意思能力の有無は「医師が判定するものではない」ということです。
医師の診断書は参考にしますが、最終的には裁判所がその意思能力の有無を判断します。
ですから、親に意思能力が不十分だと思われる場合は無効になってしまうかもしれないので、契約行為をしない方が良いでしょう。
2.法定後見制度を利用して有効な不動産取引ができます
法定後見制度は3種類
法定後見制度は、判断能力の程度によって「成年後見人」「保佐人」「補助人」のうちいずれかを家庭裁判所が選任します。
成年後見:判断能力を欠く
補佐:判断能力が著しく不十分
補助:判断能力が不十分
まずは、本人の住所を管轄する家庭裁判所に書類を提出して後見開始の申し立てをおこないます。
申立から2カ月程度で成年後見人などが選任されて、成年後見が開始します。
法定後見の登記が完了すれば、不動産の取引を行うことができます。
3. 当社の取引事例
名古屋市の介護施設に入居するM様のご子息からのご相談でした。
M様は生活雑貨の卸業を行っていた事務所、倉庫を所有しています。
3年前に廃業していますが空家のままになっていました。
その後M様は認知症と診断されたのですが、ご子息から「事務所、倉庫を賃貸して親の介護費用や生活費にあてたいが、子供の意思で賃貸できるのか」との相談でした。
M様はまだ多少なりとも判断能力はあるものの、契約内容を正しく理解できる判断能力はありません。
そこで成年後見制度を利用して契約を行うことにしました。
今回は提携先の弁護士を通じて家庭裁判所に書類を提出して、後見開始の申し立てを行いました。M様に補助人の弁護士が選任されて、無事に事務所、倉庫を賃貸して月々の収入が入り賃貸料をM様の生活費に充てることができています。
多少の費用や時間はかかりますが、難しいことではありません。
親に意思能力が不十分だと思われた場合には、法定後見制度を活用して不動産取引を行いましょう。